今年の日本抗加齢医学会総会(5/27〜5/29:京都)に伊藤裕教授(慶大医:写真)は出ないと先日書きました。しかし、抄録集をこまめに読んでいると、一つ有りました。5/27(金)13:10〜13:50のプレナリーセッションです。(PS-2)どうも教室員が発表するみたいでございます。タイトルは『コエンザイムQ10は酸素利用を制御してアトルバスタチンによる運動耐容能低下を改善する』ですって。タイトルは少し柔らかめですが、結論はこんな感じです。>スタチンがマウス骨格筋においてミトコンドリア機能障害を惹起し、運動耐容能を低下させることが示された。スタチンによるユビキノン生成阻害に伴う酸素利用の低下がその原因であると示唆された。スタチンはミトコンドリアを傷害する・・・。やっぱりです。彼らしい。製薬会社から見て最も付き合いにくい天才。こんな怖い事、公衆の面前でよく声高に言いますな(笑)。アトルバスタチンと言えば商品名「リピトール」。世界で一番売れているスタチン、というより世界で一番売れている薬でございます。何しろ2009年には世界中で114億ドル(日本円にして約1兆円)も売れているんですよ、このお薬。そんなお薬を面と向かってけなす。彼にとっては相手が世界一売れていようが、日本一の製薬企業であろうが全く関係ない。真実有るのみ。面目躍如たるものがございます。それにしても、ファイザーやアステラス製薬の彼担当MRさんは大変ですな。こんな化け物を担当したからには。お察し致します(笑)。09年世界のブロックバスター リピトールが114億ドル売上げhttp://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/38661/Default.aspxアステラス製薬とファイザー、リピトール契約期間確認訴訟で和解http://news.braina.com/2007/0126/judge_20070126_001____.html勿論、当日は会場(メインホール)に駆け付ける所存でございます。これでまた楽しみが一つ増えましたな(笑)。『コレステロール嘘とプロパガンダ』 [単行本] ミッシェル・ド・ロルジュリル (著) 浜崎 智仁 (翻訳) http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%98%98%E3%81%A8%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%91%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80-%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%AB/dp/4884123336/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1305343483&sr=8-26 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 5つ星のうち 5.0 スタチンを服用している人がこの本を読めば、きっと吐き気がしてくるであろう, 2010/8/14 By tsunco "CR・IF" (近畿地方・時々首都圏・たまに国外) (トップ500レビュアー) レビュー対象商品: コレステロール嘘とプロパガンダ (単行本) 何とも物凄い告発本でございます。 「医療界の世紀のスキャンダルが暴かれた!」(奥山初代会長) 帯も凄いこと。リーマンショックから2年。ウォール街(金融業界)で行われていたあの出鱈目が製薬業界でも行われている事実を知る、ああ恐ろしや。翻訳者は、かの浜崎智仁教授(日本脂質栄養学会理事長)であります。著者は、フランスのミッシェル・ド・ロルジュリル氏でございます。 スタチン(コレステロール低下薬:製品名でリピトール、リポバス、リバロ、クレストール、メバロチン、ローコール:リポバスとメバロチンにはジェネリック薬多数あり)を巡る数々の疑惑。現在のメガファーマが全世界で年間数兆円もの利益を上げておる薬ですので、否が応でもその内容には愕然とします。著者は「どう見ても、途方も無い医学的・科学的詐欺である」と断罪します。「コレステロール神話(伝説・妄想)」が出て来た経緯から入って、その後の神話の成長過程を描き、スタチン誕生、そして、大規模介入試験での不正の数々を克明に追います。 「高コレステロールはむしろ長寿の指標である」とは浜崎先生のお言葉。 「スタチンを服用している人がこの本を読めば、きっと吐き気がしてくるであろう」とも。 最終章は「それがコレステロールでないなら、一体なんだ」でございます。 筆者は飽和脂肪過剰、多価不飽和脂肪不足、オメガ3系脂肪酸相対的不足の三つを挙げています。 う〜〜ん。どうも主犯ではなさそうです。こいつらは手下どもです。私たちはその答え・黒幕を知っています。それは、糖質過剰です。 スタチンでLDL-コレステロールを徹底的に下げても、リスクはたった3割しか低下しなかったのであります。「何かおかしい。残り7割は何が原因なんだ」、と漸く世界の医学者も気付き始めた訳です。下手人・真犯人は糖質二十面相。漸く、黒幕が追い詰められる日が近付いています。 内容が内容だけに、医療関係者以外の一般のお方には分かりにくいご本ですが、もしスタチンの処方を受けておられるのなら、頑張ってチャレンジされても良いかも知れません。
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