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* 反芻動物由来天然型トランス脂肪酸はCHDリスクを減少させる

日時: 2011/08/11(木) 14:18:27 メンテ
名前: tsunco

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トランス脂肪酸の任意表示義務が漸く、我が国でも取り沙汰される様になって來ています。
周回遅れではありますが、一応評価すべきと考えます。
では、トランス脂肪酸の一体何処が悪いのでしょうか?
ここで復習です。
奥山治美・金城大教授(日本脂質栄養学会・元理事長)のページから。
尚、この総説の要旨は浜崎教授の近著『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』の
第5章『トランス脂肪酸は本当に悪いのか(131p〜148p)』にも採用されています。

ニューヨークのレストランから排除されたトランス脂肪酸
―トランス脂肪酸(水素添加植物油)の何が悪い?
http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/document/topic2.pdf

>以上のような多くの観点から、一般的な植物油より動物性脂肪の方が、はるかに安全であるといえます。
とくに反芻胃動物由来のミルク、バター、肉類はリノール酸系の含量が少なく、それらの摂取増が勧められます。
ブタ、ニワトリの脂肪酸組成は餌の選択で代わり、リノール酸(n-6)系/α-リノレン酸(n-3)系の比を低下させた鶏卵、肉類は、小規模ながら市場に出ていますのでお勧めです。
>要約
1.トランス脂肪酸の心疾患に及ぼす影響は顕著なものではなく、動物性脂肪より悪いという根拠は明確ではない。
2.水素添加植物油にはトランス脂肪酸のほかに微量の因子があり、脳卒中ラットの寿命を異常に短縮し、内分泌撹乱作用を示す。この作用をおこす油の量は超大量ではなく、日本人の現在の摂取量は安全域にあるとはいえない。
3.水素添加により副生するジヒドロ型ビタミンK1 が微量有害因子の一つであり、脳出血促進(血栓性低下?)作用のほか、骨代謝にも影響を及ぼす因子であると考えられる。
4.他の数種の植物油も脂肪酸組成では説明できない発癌促進作用を示しており、より広範な安全性の確認が必要である。
5.わが国で摂取されている食用油の9 割以上はリノール酸含量が高いか、微量有害因子を含んでおり、健康増進には向かない。動物性脂肪の安全性が強調できる。


さて、トランス脂肪酸には工業由来で人工のもの(水素添加植物油)と、反芻動物由来の天然型の物がある事は、ここに来られる皆様でしたら当然ご存知の事と思います。
前者にはエライジン酸など、後者は共役リノール酸やバクセン酸などがあります。
江部先生のブログでも以前にこの話題について触れられております。
例えば、2009/6/29の記事です。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-850.html

>「牛のトランス脂肪酸も有害」との中間報告
はじめまして、tomoです(以前、別名でコメントさせて頂きました)。天然トランス脂肪酸の有害性に関する新情報をみつけましたのでご報告します。
牛の体内にあるトランス脂肪はヴァクセン酸(VA)と共役リノール酸(CLA)ですが、人がVAを食べると体内でCLAに変化するそうです。今まで共役リノール酸(CLA)は安全でむしろ抗癌作用があり有用と思われていましたが、CLAも有害という実験結果の中間報告が発表されています。
実験は61人の男女を対象にした9週間の期間に渡るもので中間報告は2008年11月に全米心臓病協会(American Heart Association)の会合で行われました。発表者はアムステルダム自由大学のブラウエル(ブラウワー)博士で、発表を中間報告の形でおこなったのは、関係する患者に結果を早く伝えたかったから、とのことです。正式な報告は後におこなわれるそうですが、現時点ですでに発表されているか否かは不明です。(正確には正式な報告書を読む必要があります。)
実験の方法と結果の概略は、文章の引用を禁止している、以下のサイトに解説されていますので、日本語で読むことができます。直リンクを避けますので次の指示に従って記事を検索して下さい。
1. まず以下のサイトのホームページを開いてください:
「ノギボタニカル」 URL http://www.botanical.jp/
2.このページの[健康と食品の解説]という部分をクリックします。
3. ページが変わったら「no.2008120547 2008/12/05 共役リノール酸(天然トランス脂肪酸)の有害性」という項目を探してクリックすれば詳細な解説が表示されます。
なお、私はこのページを偶然Googleによる検索中に発見しました。試しに「共役リノール酸 有害性」という2つのキーワードをスペースで区切って入力して検索したところ、トップに表示されましたのでGoogleを使う方が素早く解説ページにたどり着けると思います。
>一応の結論です。糖質制限食は必然的に高脂質食になりますから、食事で摂る脂質はできる限り害の少ないものを選ばないと、長期的にみて、心臓病・動脈硬化・ガンなどのリスクを高める可能性があります。現時点での自衛策として、乳製品と脂肪の多い部位の牛肉の摂取を控えめにして、他の種類の肉と脂質(オリーブ油、高オレイン酸キャノーラ油、シソ油、エゴマ油、亜麻仁油、胡麻油、ラードなど)や魚を多めにする方が良さそうです。(トランス脂肪はコールドプレスのオリーブ油などを除く市販の油にも数%程度含まれていると推定されていますから乳製品の4〜5%という値が異常に高いというわけではありません。摂取の総量が多くならないように気を付けましょうという意味です。)
リスクを覚悟の上で牛の脂肪をたくさん食べるのもご自由ですが、牛由来の脂肪もマーガリンやショートニング、硬化油と同じように危険かもしれない、ということも考えに入れておいて下さい。
脂肪とタンパク質を多く取るアメリカ人富裕層女性の平均寿命が日本人女性のそれに及ばないのもトランス脂肪の取りすぎが原因のひとつかもしれません。(アメリカ人の心臓病の多さから考えるとトランス脂肪有害説が有力かも…)


ご覧のように江部先生は今の所、反芻動物由来天然型トランス脂肪酸にもどちらかと言うと否定的です。
さてそこで、本日の写真です。(クリックすると拡大します)
これはハーバード大の有名な8万人の看護師をフォローした研究論文(Nurses' Health Study)に登場する図を改編したものでございます。
筆頭筆者はウォルター・C・ウィレット博士でございます。
ウィレット博士はこのところ、ここに出ずっぱりですな(笑)。(7/28、8/8の記事参照)

Intake of trans fatty acids and risk of coronary heart disease among women
W. C. Willett MD, Profa, , M. J. Stampfer MDa, J. E. Manson MDa, G. A. Colditz MBa, F. E. Speizer MD, Profa, B. A. Rosner PhD, Profa, C. H. Hennekens MD, Profa, C. H. Hennekens, Profb, W. C. Willett, Profc, M. J. Stampferc, G. A. Colditzc, W. C. Willett, Profd, L. A. Sampson RDd and B. A. Rosner, Profe
Lancet. 1993; 341:581-585
Abstract
Trans isomers of fatty acids, formed by the partial hydrogenation of vegetable oils to produce margarine and vegetable shortening, increase the ratio of plasma low-density-lipoprotein to high-density-lipoprotein cholesterol, so it is possible that they adversely influence risk of coronary heart disease (CHD). To investigate this possibility, we studied dietary data from participants in the Nurses' Health Study. We calculated intake of trans fatty acids from dietary questionnaires completed by 85 095 women without diagnosed CHD, stroke, diabetes, or hypercholesterolaemia in 1980. During 8 years of follow-up, there were 431 cases of new CHD (non-fatal myocardial infarction or death from CHD). After adjustment for age and total energy intake, intake of trans isomers was directly related to risk of CHD (relative risk for highest vs lowest quintile 1·50 [95% Cl 1·12-2·00], p for TREND = 0·001). Additional control for established CHD risk factors, multivitamin use, and intakes of saturated fat, monounsaturated fat, and linoleic acid, dietary cholesterol, vitamins E or C, carotene, or fibre did not change the relative risk substantially. The association was stronger for the 69 181 women whose margarine consumption over the previous 10 years had been stable (1·67 [1·05-2·66], p for TREND = 0·002). Intakes of foods that are major sources of trans isomers (margarine, cookies [biscuits], cake, and white bread) were each significantly associated with higher risks of CHD. These findings support the hypothesis that consumption of partially hydrogenated vegetable oils may contribute to occurrence of CHD.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/014067369390350P


結論。
工業由来人工トランス脂肪酸は心筋梗塞リスク(CHD)を増加させるが、反芻動物由来天然型トランス脂肪酸は逆に心筋梗塞(CHD)を減少させる。

実はこちらの8万人研究(Nurses' Health Study)は江部先生が好んでブログに引用されているスタディです。
要は8万人を信じるか、61人の実験を信じるかですな。
私は奥山教授やウィレット博士の仰せに従って、怖がらずに反芻動物(牛や羊)のお肉を喰いまくるつもりです(笑)。
但し、脂刺し過ぎの国産和牛よりは釜池先生・荒木先生も推奨するグラスフェッドの赤身のオージービーフですけど。
大昔からあった食い物はヒトにとって必要かつ安全である。
新しく出て来た食い物はヒトにとって不要かつどんな危険が有るか判らない。
この「浜崎の原則」に戻りましょう、皆様。

最後に念の為に申し添えますが、反芻動物由来天然型トランス脂肪酸が心筋梗塞リスクを減少させるからと言って、
共役リノール酸のサプリ摂取を推奨している訳では決してありませんので、くれぐれも誤解無き様にお願い致します。
太古にサプリってのは有りませんでしたものね(笑)。
霜降り肉も有りませんでしたが。


『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』 (講談社プラスアルファ新書) [新書]
浜崎 智仁 (著)
http://www.bk1.jp/product/03375514

4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

5つ星のうち 5.0

長生きにはコレステロール・飽和脂肪酸を増やし、糖質を減らせ!, 2011/5/1

By tsunco "CR・IF" (近畿地方・時々首都圏・たまに国外)
(トップ500レビュアー)

レビュー対象商品: コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる (講談社プラスアルファ新書) (新書)

ズバリ、傑作である。痛快である。
昨年(2010年)9月に突如勃発したコレステロール論争。
その一方の当事者(日本脂質栄養学会・前理事長)がその舞台裏から全てを明らかにする。
もう一方の当事者(日本動脈硬化学会)は最早綻びだらけで、
「権威」(日本医学会会長や日本医師会会長)を担ぎ出すのに忙しい(笑)。
「最後の砦が最初に出て来てしまった。(179p)」と筆者は余裕綽々である。
それにしても、科学的真理に多数決や権威を持ち出すとは何とも哀れである。

『人間にとって昔は入手できなかったものは不要である。』で始まる(3p)。
即ち、大昔食べていなかったものは「要らないもの」である。
植物油もトランス脂肪も要らない。
そして、穀物もそうだ。
そんな物は大昔、無かったのだ。
反論不能でかつ説得力充分。
筆者は言う、そもそも栄養学は呪われた学問なのだとか(126p)。
先進国の、先進国による、先進国のための学問。
それが栄養学。
ここも痛快過ぎる(笑)。

そして、この本が凄い処は「コレステロール」をタイトルにしながら、
同時に糖質制限の本でもある処である(第6章)。
糖質制限に興味のある方は、
この第6章『「低炭水化物食」のススメ』(149p〜177p)から入ってもよいだろう。
そう、脂質重視と糖質ゼロは表裏一体なのである。
この二つは切っても切り離せない。
「食は野生動物に学べ」と説く釜池豊秋先生も真っ青のズバリトークである。
著者は異端者扱いを全く畏れない。
ここも釜池先生にそっくりである。
実に素晴らしい。

勿論、星は5つ。
否、6つでも良い位である。
健康長寿を目指す全ての人にお勧め出来る逸品である。

 
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